「やっぱりこたつだよなー」
「うんうん」
「ネェちょっと、この部屋寒くない?」
「……マッスルにだけは言われたくないわよね、その格好してる限りは」
「少佐、ハロゲンヒーターこっち向けて」
「いやだね」
『こっちはそんなに寒くないぞ。替わるか、マッスル?』
「イヤん、助かるわぁコレミツ」
「真木さんまだかなー。蕎麦ー」
「いいねえ、お蕎麦」
|念動力≪サイコキネシス≫系、|瞬間移動≪テレポート≫系の|超能力者≪エスパー≫はもう大方眠りについている。
大体、南の海から太平洋を一日半で横断など。海路ではとうてい無理なので、空路でやってきたとはい
え、無茶もいいところなのだ。
まあ、大過なく到着したおかげで、今働いている超能力者は前もって仮眠をとらせていた哨戒の|遠隔透視能力者≪リモート・クレヤボヤンス≫と、サポート
の|精神感応能力者≪テレパス≫が交代で見はっているだけで済んでいるが。
船をわざわざ太平洋側の寒村に接舷させたのは、「海から昇る初日の出」と、「日本の西側で観測できる部分月食」を見たいと兵部が言い出したためだ。
だが瀬戸内方面では接岸できるような場所に心当たりはなく、結局北の果てへとやってきた。それでも基地やら原発やらと物騒な土地柄だから、隠れることの
できる場所は少ない。人目を忍んだあげくが超のつく僻地で、おかげで電波状態がいまいち芳しくない。
「これさ、どー考えても放送局がサボってるだけじゃん」
数少ない視聴可能番組は「3時から5時の放送は環境に配慮して停止します」という文字を画面に浮かび上がらせている。テレビの前にいるのは葉と兵部、前
者はテレビをよく見るために、後者は興味がないので背を向けてもいいから、という理由である。しかも兵部はハロゲンヒーターまで背負っていたりする。
「――お前もサボらないでくれると嬉しいんだがな、葉」
炭素繊維の手で扉を開けた真木が両手に持っているのは、大きなお盆いっぱいに乗って湯気を立てる丼。中身は蕎麦だ。
リビングのテレビはハイビジョン対応だが、残念ながらこの海域周辺はハイビジョンデジタルの電波がまるきり入らない。オーディオルームのテレビも然り、
だ。
そうしてニューイヤーのカウントダウンの後、就寝、と散らばった一同の中から、旧式の機材――アナログテレビ含む――とゲーム機の並ぶ、通称「ゲーム部
屋」に集まった大人が、真木を含めて6人。
畳敷きのこの部屋の、一番の目玉は中央に鎮座している6人用のこたつである。
兵部が「洗牌の音がうるさいから禁止」と麻雀卓を放り投げてしまった後に誰かが持ち込んだものだ。以来、こたつむりの生息地と化してしまった。現在集
まっているのは兵部・葉・紅葉・マッスル・コレミツに、真木である。
「ありがと真木っちゃん。”電磁波兄弟”がいればよかったのにねえ」
『それは無茶というものだろう。――もらっていくぞ』
さっき真木が蕎麦を作りに出た時とはマッスルとコレミツの位置が逆になっている。二人とも大人しく真木の持ったお盆から自分の分の蕎麦を取る。
「ほら葉も。ったく、俺一人にやらせて、手が足りないだろうが」
「ああ、そんな不満があったんだ。なあんだ」
ひょいっと葉のぶんと兵部の分、残った二つを手に持つと、
「あ、ちょっと炭素繊維の手出して」
「ん?」
馬鹿正直に手のひらの形に成形したものを葉の前に出すと、葉がトン、と二つの蕎麦を置く。
「ほらこれで、俺の手も猫の手も借りるまでもなくなった」
「俺の負担は同じだろう!?」
「葉は賢いなー」
「でしょー」
「少佐も甘やかさないでください!」
本当はざるそばにするために手ずから打った麺だというのに、(文字通り)手が足りないため温蕎麦だ。
葉と違って素直に受け取りに来た紅葉が、手にとって言うには。
「山菜だけ?天ぷらは?」
「太りたいのか、紅葉」
「真木ちゃんのいけずー」
「葉、こたつに戻る前に自分の分くらい持っていけ!」
とか言いながら兵部には炭素繊維の腕でその眼前に置く。再度真木の元へ歩いて取りにきた葉が少しムッとしているが構うものか、意趣返しというものだ。
酒を持ち込む者がいないのは幸いだった。まあ、酒についてはクリスマスの大騒ぎの後の二日酔いに、一同懲りたのかもしれないが。
がしかし、アルコールは年越しのお祝いパーティで飲んだ分だけで皆満足したかと思えば、テレビを見ながら今度は蕎麦が食いたいと言い出すし、作るのは結
局真木なのだった。
「平和ねェ」
『ウソみたいだな』
「まぁ多分ウソなんだと思うけどね」
自分の手で蕎麦を取っていった者たちは、さっそく蕎麦をすすりながらのんきに会話している。
今この瞬間にも、助けられるはずのものを切り捨てているかもしれない。今が千載一遇のチャンスなのに、みすみすそれを逃しているのかも。でも。
いいはずだ。
偽りの平和でも、平和に違いはない。
――なのに、兵部は押し黙ってしまった。
「少佐?」
真木の声に、葉をはじめとした一同が兵部を見ると、丼の縁に置いた指を見て曰く。
「…熱い」
「え?」
「……僕は熱いの、あんまり得意じゃない」
「あ」
そういえば、いつかの鍋焼きうどんの時に、猫舌だと言っていたっけ。鍋などは普通に食べているから忘れていた。
あるいはあの出来事に懲りて、今でも忌避しているのかもしれないが。
「すいません。冷めるまで待ってから食べてください」
「――いいや、いらない」
「では、今作り直してきますから」
「いらないってば――悪いけど、年寄りはそろそろ寝るよ」
「え?」
「少佐?」
全員の目と兵部の目があって、らしくもなく少し視線を落としながら言い訳がましく。
「なんでもないんだ。みんなは楽しんでて。おやすみ」
言うと、その場から|瞬間移動≪テレポート≫でかき消えてしまった。
途方に暮れたのは残った者たちだ。
その中で真っ先に自分を取り戻して立ち上がったのは葉だった。
「何だかなー。月食も初日の出も言い出しっぺのくせになあ」
次いで紅葉も立ち上がる。
「追いかけましょ、真木ちゃん」
「え、でも」
「行ってらっしゃい」
マッスルまでが賛同する。
『少佐の部屋を確認して、何もなければ戻ってくればいいさ。いなかったら……』
コレミツに言われてようやく真木も理解する。
三人で部屋を出ると兵部の部屋へ。果たしてそこには誰もおらず。
「何だかなー」
「いつものことながら、ホント気まぐれなんだから」
「放っておいた方がいいんじゃないのか」
消極的な意見は真木だ。
「お一人になりたいのかもしれない」
そんな台詞に紅葉と葉は互いに顔を見合わせる。
「真木ちゃん、わかってない」
「ほんとに」
タラップの手前で、紅葉と葉とが、最後尾の真木に振り返って言う。
「一人じゃなくなったせいで変わってしまったものなんて、一人でだっていずれ変わってたわよ」
「かくれんぼは、見つけてもらうためにやるんだぜ?」
――迎えに行かなきゃ、朝日に染まる前に。
二人に活を入れられ、三人バラバラになって手分けするということになって。それから、真木は考える。
いつもの気紛れには理由がない。でも二人の言うとおりなら、今の気紛れには、きっと理由がある。
暖かい場所にいて、ふいに不安に襲われて。
でも原因が何なのかきっと本人も分かっていない。分かっていない自分を持てあましているのだとも気付かずに。
それなら多分彼は、一番寒い場所にいる。
長時間こたつの中にいたせいもあるのだろうが、どこか熱っぽい。体も、頭も。それもどちらかというと発散してくれない、内側にこもるタイプの熱だ。だか
ら頭をすっきりさせたかった。
まとわりつく、まやかしの安心やいつわりの平和への不安は、一人になって孤独を実感することでしかリセットされないことを知っている。だから、船の舳
先、普段は風を切って走るその先端、本当に一人座るのがやっとの場所を選んで腰を下ろす。
一人でいることには慣れている。
ただ、巡り廻る日々の中で、変わりゆく人の心には、何故だろう、慣れることがない。
もう慣れたと思うたびに過去の残映が心を蝕むのは、まだ心が残っているからなのだと思い知らされる。
だから、心が安寧を感じると、途端に不安になることがあって。
あたたかな光の中にいると感じるたびに、これは永遠には続かないと、いつか戻る冷たい闇の世界を思う。
そんな時は一人になることが一番なのだと思っている。傷つけていいものなんてないのだと知りながらも、部屋を出る時の皆を突き放したともとれる自分の態
度を思い返すと、少しだけ唇を噛んでしまうけど。
運命と人の心だけは容易には変えられないからと、諦めてこの手を離してきた。変える努力はしているつもりだけれど、誰かの想いが離れてゆくことを強要さ
れる、それだけには逆らえない。
なのに。
唐突に、ふわりと何かが後ろから肩を抱いて。
「……捕まえました」
声の主――真木は自分の上空に留まり、その髪の一部が伸びて自分を包んでいる。
雲間を割って赤く光る月は十六夜、黒い筋が月を縫って走る様は蝙蝠色の曼珠沙華の花のようでもあり。
「真木」
「一人でいると強くなれるとでも思っているんですか、あなたは」
「……」
なんだか思っていたことを言い当てられたような発言に、言葉が詰まる。
何故か、心を知られていることは我慢できなくて。
でも知られずにいることにも我慢できない。
「……その通りかもね。でも、やっぱり部屋に戻るよ」
迷いの中に、咲いた黒い花。
曼珠沙華――彼岸花、黒、ともに想像させるのは死だ。
もうこれ以上心の中のなにを喪うでもないはずなのに、何故目の前のものをこれほどまでに失いたくないと願うのか。
そうしている間に同じ高さにまで近づいてきた真木が手を差し出してきた。
「離しませんよ。ついていかせていただきますから」
この鳥は夜も飛ぶらしい。ついていきますから。どこへでも、いつまでも。
これは違う。自分が無意識に彼にそう言わせるように仕組んでいたものではない。
「――うん」
どこか臆病な仕草で、兵部は真木の手に自分の手を重ねた。
階段の下に隠れていた残りの二人は、舳先の二つの影に背を向ける。つんつん、と紅葉が肘で葉の脇腹を押す。
「……なんだよ」
「両方にヤキモチ焼かない」
そんなつもりも自覚もなかったが、顔に出ていただろうか。だがそんな紅葉の方こそ。
「お互い様だろ」
「んー」
葉の切り返しに、今度は紅葉が苦笑する番だ。
「でももう、一人きりでも二人きりでも三人ぽっちって訳でも、ないから」
私は無力で、どんなに淋しくても。
ずっとずっと願ってた。
「あんたもでしょ」
あなたも何もできず、たとえ恐くても。
それしかできないから、待っていた。
「……へーへー」
抱いてくれる腕を。――腕を。
兵部は常に三人を抱きかかえてきた。その手を放せるようになったのは最近のこと。それまでの間、兵部の役割であるそれを支え、時に代行していたのが真木
だ。
兵部が不在の間も、そうでない時も、真木が自分たちという荷物を重いと思ったことなどないことを知っている。
ただひたすらに、荷物を持つその腕をもっと強くしたいと、それだけを考えてきたことも、葉、紅葉、と続いて、今は兵部をも包みたいと願っていることも。
紅葉にも葉にも手をかける必要がなくなった今になってようやく、その腕と腕は互いを支えている。
きっと二人とも同じだけ、待ち焦がれ、失いたくないと希求していた。
抱き合うことの出来る本物の人間、暖かな存在、そして何より、強がりを含めてわかってくれる、誰か。
無理矢理笑わなくたっていいのだと声をかけてくれる、そんな相手を――愛されることを。
兵部を苛む傷。兵部はその傷を捨てることができない。その疼きの中に確かに遺った、憎しみという懐かしさに縛られているから。
光を畏れるそれの存在を、「三人の子供」は長く感じ続けてきたけれど。紅葉と葉は、「知って」はいても、「わかって」はあげられないのだ。ましてやそれ
を包み、決して去ることのない『ただ一人』になることなど。
自分たち二人は、小さな手をどんなに開き、短い腕をどんなに伸ばしても、『守る』より『守られる』ことの方が多かったのだから。
できることは、兵部が新たに背負うと決めたもの――パンドラと、その仲間達を、自分たちも支え、守ること。
「両方にヤキモチって言われちまうとなー」
今度は葉が紅葉の頭を下から掻くように撫でるとすぐ離して。
「他に言いようがないっつーか」
「でしょ」
でもこんなヤキモチ――二人への文句なんて、本当は些細なことだ。
そう、だって好きで、大好きで、好きすぎた。そんな現実を前にしては、どうでもよかった。
時を重ね、日々に埋もれがちな今でも、根底にあるそれを忘れることはない。それこそ、懐かしい傷とともに。
この船に乗るものたちの終着が、「始まり」というよりもむしろ「|終わり≪カタストロフ≫」に近いと知っているのが、もしかしたら自分たちだけだったと
しても。
「……さみーな」
「そうね、戻りましょ」
どうせ真木はともかく兵部にとっては、自分たちがここにいることはバレバレなのだろうが。これ以上は野暮というものだろう。それに。
「残りのみんなが待ってるわ」
「って、起きてるのはマッスルとコレミツだけだけどな」
くつくつと笑う葉の姿に、紅葉もつられてくすりと忍び笑う。
今日はこれでいい。夜の終わりの月食を待っているのでも、朝のはじまりの初日の出を待っているのでもいい。ただささやかに、劇的に増えた『仲間』と共
に、待っていよう――今はまだ許される、何かを。
あなたを 迎えにいこう 迷いの中に私はまだ咲いてる?
裸足で 割れた心の上を歩けば Do I prove how strong I can be
for you?
「ちょっと、外はけっこう寒いわよ。今にも降り出しそう」
「しかも大荒れって天気予報、当たりだなありゃ。雲が出てて月蝕どころじゃない感じ」
二人揃えば雲の上で月蝕を観察することもできるというのに、わざわざ戻ってきた紅葉と葉。その二人を何気ないフリを装いながら、マッスルとコレミツは様
子を窺う。いつもと変わりないその態度に、残りの兵部と真木についても心配ないのだろうと、互いに目線で頷き合う。
「紅葉ちゃん、おモチよー」
いつの間に持ってきたのか、ダイニングでパン食をする時に使う、”おかわり”と”お寝坊さん”用の小振りなオーブントースターで、マッスルがモチを焼い
ている。
「やった、力そばっ」
『……太るとかどうとか言われていなかったか?』
戻らないとふんだ兵部の分をマッスルとコレミツは折半することにしたらしい。そして二人ともの丼には、既にモチが浮いている。
「コレミツが心配するほどは太らないわよー、多分」
「多分?」
「葉、うるさいっ。少し動けば落ちるんだからいいのよ」
マッスルとコレミツに負けない肉体系の紅葉のノリは、見た目のスレンダーでクールな美女とは少し齟齬があって、そこがとても見ていて楽しい。と葉は思っ
ている。
「葉ちゃんも食べる?すぐ焼けるけど」
「あー、んー、どーすっかな」
太ったことはあまりないけど、太らないと断言も出来ず。まして超肉体派の紅葉の言うレベルで「少し動く」のも面倒で。一日にプール往復で200mを10
本が普通とか、あまりに過酷すぎる。
「紅葉みたいになりたくないから遠慮する」
「なによそれ!」
本人的には妥当なことを言ったつもりなのに、途中を端折ったおかげで怒りを買う。
「それからみんな、おモチは明日のおしるこ用のやつを拝借してきたから、真木っちゃんにはバレないようにね」
真木が戻ってきたらどうするつもりだったのかとつっこみたい気持ちを抑えながら、葉はこたつを広く使い兵部のいたスペースも占拠する。足が伸ばせて気持
ちいい。
「あの様子じゃ今日は戻ってこねーって。へーきへーき」
「ちょっと葉、それよりも説明を…」
『待て、誰か来た』
コレミツの|思念波≪テレパシー≫に、一同の視線が扉へと集まる。早くも遅くもない速度で開けられた扉の向こう側。そこに立っていたのは、真木。
「おい、少佐はお食べにならないそうだから適当に、と…あれ?」
兵部のいた場所にはもう何もない。というか葉以外の丼はどこかに行ってしまっていて。
何故か全員背筋を伸ばして真木を見ている。
「どうかしたか?」
「な、なんでもない。それより聞いてよ、葉が……?」
「マッスル」
紅葉の話を遮るようにマッスルを見据える。眉間に僅かに寄った皺に全員が気付いた。
「なぁに?」
慌てて真木から死角になるよう、後ろ手に『力そば』を隠したマッスル。その背中のあたりを指して。
「オーブントースターはダイニングに戻しておけよ」
「…ェっ…」
「――っ」
「ぷはっ」
『……』
真木の目の届かないところでコレミツが自分の丼にうっかり親指をつっこむ。それを契機にしたかのように。
「ネェわざと?わかってて言ってるのッ!?」
「いや、わかってねー。真木さん絶対わかってねー」
「何に使ったのかとか考えないところが真木ちゃんよね」
『だな』
「は?」
結局、大笑いしてしまう一同なのだった。
かくて一月一日、時刻は昼食少し前。
最新型のヒートポンプの設置された船内だというのに、兵部はわざわざこたつに潜る。今日はまだ他の誰もこのゲーム部屋――というかこたつ部屋――にはい
ないようだ。
「あーもー、見損ねた、月食」
「……俺のせいですか」
自分もこたつに入ろうとした所に兵部に難癖つけられて、真木の動きが止まる。
「初日の出も」
それはどちらかというとそろそろ時間だと口にするたびにイヤだ、まだダメ、と跨り続……もとい譲らなかった兵部のほうに原因があると思うのだが、言えば
逆ギレされるのは明白だ。仕方がないので機嫌をうかがうことにする。
「………何がしてほしいんですか?」
「お蕎麦が食べたい、あったかいやつ」
「はい」
皆が起き出しているこの時間だから、兵部一人にだけ作るという訳にはいかない。起きている面子の分となれば、いっそ温蕎麦を指定されるのは楽なぐらいな
のだが、また熱いなどとへそを曲げられたらどうしようとひそかに思い悩む。
「あと、お餅も入れて、力そばにして」
あまり大食いというわけでもない兵部が珍しく量を増すようなものを頼むので、顔を見ると愉快そうに目を細めて笑っている。
「?わかりました」
そういえば、先ほど確認したら真木の記憶よりも餅が減っている気がしたが、まあ足りないということはないだろう。ただ、大人数の蕎麦を運ぶのに向いてそ
うなマッスルやコレミツ、そして出来れば紅葉と葉――奇しくも昨日のメンバーだ――にも手伝いを頼むべきかどうか。それに、初詣の日程を聞くタイミングも
見計らわないといけない。
新年早々延々と悩む真木のことなどつゆ知らず、兵部は肩までこたつに入って天板に顎を乗せると、満足げに嘯いた。
「うーん、やっぱりこたつだよね」
<終>
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